長野県安曇野市にある放課後等デイサービス「COJIRI安曇野」様にてスタッフ向け研修をさせていただきました。

施設案内ページより

見晴らしいい、安曇野らしい場所にある施設は、新しく清潔で子どもたちも安心して通える素敵な場所でした。

たまたま代表伊藤と地元でご縁のある方がつなげてくださり、ちょうど2号店をスタートするにあたって研修を実施いたしました。

研修内容

今回は、直前に基礎研修は受けられていたということでしたので、特性や基本的な対応についてはお話せず、具体的な事例の検討を中心にしました。

支援に正解も答えもない

先に、私たちがたくさんの親子をみてきて感じたことや、支援者さんや大人になった発達障害の方々のお話を聞いて感じた支援の現場で「大切なこと」をお伝えしました。

発達障害やグレーゾーンの子どもたちの問題行動に対しては、

どうしても「こんな時はこうすればいい」「こんな時はどうすればいいか?」「この対応で合っているのか?」という点に、目が向きがちです。

私たち大人は「正解」や「答え」を知りたがるからです。

でも、子育てに正解が無いように、支援方法にも正解はありません。

なぜなら、その対応が正解だったかどうかわかるのは、その子がずっとずっと大人になった時にしか、わからないはずです。

その場は解決したかもしれないけど、将来それがその子の人生に影響したのか?

親だってわかりません。

だから、「私の支援はこれでよかったのだろうか?」という点に目を向けてしまうと、支援者さんは苦しくなるだけです。

「子どもの未来につながる支援」とは

じゃあ、何ができるのか?というお話です。

親と違って、他人のお子さんを預かる支援者さん。

場合によっては「成果」や「結果」「変化」を求められることもあるでしょう。

「仕事」ですから。

私たちが提案する「子どもの未来につながる支援」では、

発達障害やグレーゾーンの子どもに関わる大人たちができるのは、

  • 共感すること
  • 安心感を与えること
  • ヘルプサインが出せるようになること

というお話をさせていただいてます。

パニックや癇癪、友達とのトラブル

支援者さんとしては、他の子を傷つけてしまったりしないように、なんとかしてその場を収拾することに躍起になりがちです。

でも、無理やり止めたり、叱ったりしても、その子は同じことを繰り返します。

一時的な対応は、結局事態を悪化させることにつながりかねません。

なぜそうなるか?

問題行動を起こした子どもに「共感」ができていないからです。

つらいのは、誰でもなく「本人」です。自分ではそういった感情コントロールができないことが、特性の一つなのです。

特性は直りません。

でも、その時にどう大人が対処するかで、軽減することはできます。

私はよく、「自分だったらどうしてほしいか考えてみてください」とお伝えします。

例えば、

  • 夫婦喧嘩で相手に感情的になってしまった後、どんな言葉をかけてほしいか?
  • どうしようもなく辛いことがあって、友達に話を聞いてもらった時にどんな風にしてほしいか?

「あなたのこういうところができてないから、直したほうがいいよ」と言われたら、どう思いますか?

求めてもないアドバイスをされたら、どう感じますか?

ただただ、

「つらかったね」

「悔しかったよね」

「悲しかったね」

と共感してもらえただけで、救われた経験はありませんか?

正しいことを教えたりするのは、その先です。

まずは、身近な大人に共感してもらって「わかってもらえた」という安心感を積み重ねることが、先です。

事例検討

基本的なお話の後に、具体的な事例検討を皆さんグループになってしていただきました。

これは、

「困った時に一人で解決策を考えるのではなく、誰かに相談する、聞く」という習慣付けをすることも目的としています。

支援の現場には、経験値や年齢、知識にばらつきがあるのは当然です。

考え方も違います。

それぞれ、全く違う人生を歩んできた人たちがいます。

これはどんな社会でもそうですが、「自分がどう育ったか」も影響してきます。

要するに「価値観の違い」です。

価値観なので、正しいや間違いは無いのですが、どうしても明らかに自分と「考え方の違う」人はいます。

相手のやり方が「正しい」や「間違い」という視点でみるのではなく、「いろんな考え方の人がいる」ということを念頭に置いたほうがチームで行動する時は、楽になります。

「こんな問題行動を起こす子どもがいました。さて、あなたならどうする?」

という問いをチームで検討する時、誰が正しいではなく、

「支援の方法には様々な方法がある。A案、B案、C案をみんなで出して、検証してみよう」というスタンスでいると、一人で苦しむ支援者さんが減ると、私は考えています。

それによって、救われる子どもたちもたくさんいるでしょう。

支援者さんへのリスペクト

私は個人的に、一人の親として、放課後等デイサービスの方や保育園、学校の先生、学童の方々・・・

本当にたくさんの方々に支えられてきました。

そのため、まずはこのお仕事についてくれてる皆さんに、心から感謝し敬意を払うことを忘れずにいます。

私には、到底できません。

そんな支援者さんたちへ、こういった研修を通して、恩返しできたらと思っています。

仕事がもっと、楽しくなるように。